

いろいろ考えてアタシは彼とこの関係はもう続けられないと判断した。
男女の関係は難しい。好きだの嫌いだの、嫉妬やプライド、独占欲そんなものが入り混じっておかしくなってくる。
それに彼との関係は1年弱になるが、少し新鮮さが欠けてきてドキドキすることも緊張することもお互いなくなり面白くなくなってきた。
アタシは、正直なところ彼との繋がりが全くなしになってしまうのは惜しいと思うし彼自身を嫌いになったわけじゃない。
優しいしかっこいいし、気も合うし友達としてはかなり相性がいいと思う。
だから今までの男女の関係だけをPCの操作と同じようにその部分だけを選択して削除したいと思った。
こういうのって人間性を疑われるだろうか?


彼からはあれから何度か電話もメールもあった。その時思ったことについて話した。
今までと同じように彼は謝罪し、アタシのことを愛していると言っている。
でもそれは形式的にそうしているだけだ。もちろん彼はそんなこと言わないがアタシにはよく分かる。
ある日、彼に話があるからと会社が終わった後呼び出した。
彼の会社の近くの静かなレストランバーで待ち合わせをした。
アタシが着くと彼は細めのストライプのスーツに身を包み、カウンター席に座りグラスビールを半分くらい飲み終えていた。
「早いねえ。」「今日は遅刻しちゃいけないと思ってね…」「何それ」「緊張をほぐす為に事前にアルコール入れとこうと思ってさ。」「何緊張してんの?」「そりゃ緊張するよ、話があるって呼び出されちゃったら…」彼はそんな風に少しおどけながら、強張りながらアタシのビールといくつかおつまみを頼んだ。
シーザーサラダを取り分けながら彼はアタシとは目を合わさずに喋っている。
「この前ごめんな。」「うんん、いいの…でね、ひとつ提案があるんだけど…」「ん?」手を止めてアタシの目をまっすぐ見つめた。
久々にそんな風に見られたような気がする。少しドキッとした。
「アタシね、拓ちゃんとこの関係をこれからも続けていくのは難しいと思うの。だからお友達にならない?」「友達?」「そう、異性の友達。駄目?」「…オレ真理ちゃんのこと好きだよ。いきなり友達って言われても…」「できない?」「ちょっと待って待って・・どういう経路をたどってそういう結論になったの?説明して。」「えっとね…アタシね恋愛って苦手なの。人間関係において一番いろんな種類の感情が入り混じってて、ややこしくてすごく難しいと思うの。
で、久々に恋愛をしたのが拓ちゃんでやっぱりアタシ恋愛は苦手だな…って思ったの。
それに、恋愛をしてるときは何か不安で寂しくて苦しいから少し疲れちゃったの。
拓ちゃんのことは好きだし、気も合うと思うから恋愛がなくなっただけで関係を切りたくない。
だからその他の繋がりだと友達ってことにならないかなって思って。」 彼は少し黙った。

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